身近なところにさまざまな面白い科学現象が潜んでいるといえます。
たとえば、金属である鉄やアルミなどは多くの製品に使用されている材質といえますが、これらは「熱が伝わりやすいの」ほど「電気も伝わりやすい」と感じられます。これらの性質は科学的に説明することができるのでしょうか。また、金属以外ではどうなのでしょうか。
ここでは、熱伝導率と電気伝導率の相関について、金属と金属以外に分けて解説していきます。
金属では熱伝導と電気伝導は相関関係にあるのか?【ウィーデマン・フランツ則と温度依存性】
結論から言いますと、金属においては熱伝導率と電気伝導率には関係性があり、正の相関があるといえます。
簡単にいいますと、金属における熱伝導と電気伝導では、両方とも、金属内部に存在する自由電子の影響がほとんどであるために起こるといえます。
電圧をかけると金属内部の電子が移動することで電流が流れるわけですが、熱をかけた場合でも金属ではこの自由電子がこの熱を伝えているために電気伝導度には温度依存性(相関関係)にあるわけです。
なお、これは科学的に証明されており、ウィーデマン、フランツの法則と呼ばれる以下の式で表すことが可能です。
温度を固定したときに、熱伝導率と、電気伝導率が比例関係となるのがわかるでしょう。
金属ではこのウィーデマン、フランツの式が成立するわけですが、金属以外の物質では熱伝導と電気伝導の関係はどうなのでしょうか。
金属以外では、熱伝導と電気伝導に相関はない
なお、上の金属では熱伝導と電気伝導を起こす大部分が自由電子によるものであったために、相関があったといえます。
ここで、ダイヤモンドを例に考えると電気伝導性は低いものの、熱伝導性はかなり高いのです。これは、熱伝導はおもに、「自由電子による伝搬」と「格子振動(分子は止まっているようにみえて動いている)による伝搬」があることで説明ができます。
つまりダイヤモンドでは、自由電子はないものの、結合力が高いことから格子振動の伝搬能力のみが優れています。
http://www.osakac.ac.jp/labs/matsuura/japanese/lecture/semicondic/ta/ta002.pdfより一部引用
結果として、自由電子はないため電気伝導率は率いのですが、熱伝導率のみが高い状況となっているわけなのです。
このように金属以外の物質では、一概に熱伝導度と電気伝導度には相関があると言えないのです。
まとめ
ここでは、熱伝導と電気伝導の関係性について、金属や金属以外の物質に分けて解説しました。
金属では、一定温度の場合電気伝導率と熱伝導率は正の相関があるといえます。これは、金属には非常に多くの自由電子があり、両方の伝搬の要因であるためです。これはウィーデマン、フランツ則で示されています。
一方で、金属以外ではかならずしも、電気伝導と熱伝導に相関があるわけではないです。これは熱伝導は自由電子による熱の伝搬と格子振動による熱の伝搬に分かれ、金属以外では自由電子がそれほど多くないことが理由といえます。
身近な科学を理解し、毎日をより楽しんでいきましょう。
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